薬局薬剤師の現状と課題について
薬局薬剤師が果たす役割は、ますます大きくなっています。
その背景には、処方される薬剤が多くなっていることが関係しています。
1991年度と2011年度の調剤医療費を比較してみると、約3.2兆円から約6.6兆円と2倍以上の伸びを見せています。
様々な効果的な医薬品が開発されて薬物療法の重要性が増していると共に、兆高齢化が進み医療全体のニーズが高まっていることが関係しています。
これに伴い、調剤薬局の数も増えています。
人口当たりの調剤薬局の割合は低くなっています。
医療における薬物療法の注目度が高まっていることも、現状を知る上で重要なポイントです。
薬剤師が積極的に医療に携わり、安全かつより効果的な治療を行うために活動をするようになっているのです。
薬剤師としての専門的な知見を有効活用して、医師との協働が増えているわけです。
こうしたことから、薬剤師の存在感が以前にも増して高まっているとも言えるでしょう。
もう一つの注目点は、ジェネリック医薬品が増えているということです。
同じ成分や効果の医薬品に対して複数の選択肢が生まれているため、薬剤師が患者さんの質問に答えたり相談を受けたりすることが増えています。
こうした現状を踏まえて、課題も様々な点にわたることも留意したいところです。
複数の医療機関を受診することが多い高齢者の対応が多くなり、調剤の重複や飲み合わせなどのミスを防ぐのが難しくなっています。
さらに、調剤薬局自体が増えているため、経営面での難しさを抱える企業が出てくるリスクも生じています。
薬局薬剤師の今後の展望について
高齢化はまだ進んでいくのが確実ですので、それに合わせた調剤薬局薬剤師の働きが求められます。
日本全国どこの地域でもこの状態が見られるので、地域格差がないように各地にまんべんなく薬局薬剤師が存在し活動する必要が強まります。
また、医療機関だけでなく、介護サービス事業所との連携の重要性が高まります。
適切なアドバイスを提供したり、より効率的な医薬品の提供をするシステムなどが作られていくことになります。
社会保険制度についても、薬剤師という立場から考慮する必要があります。
高齢化が進むと医療費が増大し、社会保険制度にかかる負担も大きくなります。
過剰な投薬や重複調剤などを薬剤師のチェックによって減らしていくことで、患者さんを守ると同時に社会保険制度を健全な状態に保つために貢献できるわけです。
また、地域住民に寄り添う形で健康を増進するためのサービスを提供するのも、薬局薬剤師がこれから果たすべき大きな役割となるはずです。
病院よりも身近な存在となる薬局薬局は、セルフメディケーションを推進するために優れた存在となるからです。