ドラッグストア・薬局業界の現状

豚の貯金箱と通帳と小銭

国民医療費が上昇傾向にある

厚生労働省公表した「2016年度医療費の動向」によると、国民医療費は41.3兆円にのぼっている現状です。高齢化社会が進むことで、今後も国民医療費が増加していくと言われるなか、国民自身が健康を管理する「セルフメディケーション」の意識が高まっている傾向にあります。そんな医療費の増加を防ぐ対策として重要な役割を担っているのが、ドラッグストア業界です。一般用医薬品や医療用医薬品を扱うドラッグストアは、総店舗数・総売り上げともに上昇傾向にあります。

2017年度総店舗数は1万9,534店、総売上高は6兆8,504億円を記録。OTC医薬品のインターネット販売が日常化し、異業態を含めた企業間の競争はますます厳しさを増しているものの、消費の多様化、セルフメディケーションや高齢化社会への対応というニーズを的確にとらえ、積極的な出店とともに着実に成長を遂げている有望市場であることがわかります。

引用元:薬剤師・薬学部生のインターン情報ならめでぃしーんねっと2021|就職活動の手引き:専門業界編~ドラッグストア、調剤薬局~

一般用医薬品販売を取り巻く環境も大きく変わってきています。そのきっかけの一つが「改正薬事法」です。特にリスクが高いといわれている第1類OTC薬を販売できるのは、薬剤師だけと言われています。一方、第2・3類OTC薬は薬剤師に加えて登録販売者でも販売が可能になりました。薬剤師は第1類OTC薬を取り扱う者として、患者(顧客)の安全性を常に考えつつ、専門スキルを発揮したうえで、一人ひとりに適した薬を提供しなければなりません。また、登録販売者の指導・管理も行う必要があります。

かかりつけ薬剤師制度

調剤医療費は年々上昇傾向にあります。2017年度の調剤医療費は、7兆7千億円を超えており、処方せん枚数は年々増加している状況です。調剤薬局はドラッグストアと同様、高度な医療サービスを提供する場として、社会になくてはならない存在になりました。
2016年度診療報酬改定に伴い、「かかりつけ薬剤師」制度がスタートしています。この制度は、患者さんの服用情報や薬による副作用や飲み残しなどを確認し、管理していくことです。患者さんの自宅に訪問し、薬や健康の相談を行います。薬局が開いていない時間帯も利用できるので、患者さんは気軽に相談できるのが魅力です。
かかりつけ薬剤師になるには「3年以上の薬局勤務経験がある」「薬剤師認定制度認証機構が認証する研修認定制度等の研修認定を取得」するなど、国が定める一定の要件をクリアしなければなりません。
もちろん経験が豊富でないと、その中には選ばれないでしょう。患者さんに寄り添い、細やかなサポートをしたいと考える方は、目指してみてはいかがでしょうか。

かかりつけ薬剤師の条件
●薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、その薬局に週32時間以上勤務しているとともに、半年以上在籍していること。
●薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
●医療にかかわる地域活動の取り組みに参画していること。(地域の行政機関や関係団体等が主催する講演会、研修会等への参加、講演等の実績)

引用元:薬剤師・薬学部生のインターン情報ならめでぃしーんねっと2021|就職活動の手引き:専門業界編~ドラッグストア、調剤薬局~

在宅医療について

病院や診療所のベッド数が減少していること・自宅で治療を希望する患者さんの対応として、今在宅医療の需要が高まっています。

2012年度診療報酬改定では、超高齢社会に向けて、急性期から在宅、介護まで切れ目のない包括的なサービスを提供するための「医療と介護等との機能分化や円滑な連携、“在宅医療”の充実」が掲げられました。施設または個人の患者を対象に訪問する在宅医療は、調剤薬局で働く薬剤師にとっての業務として、浸透しつつあります。

引用元:薬剤師・薬学部生のインターン情報ならめでぃしーんねっと2021|就職活動の手引き:専門業界編~ドラッグストア、調剤薬局~

在宅医療の場合、薬剤師が直接患者さんの治療に携わることはあまりありません。ですが、患者さんの服用状況や副作用を把握したうえで、医師や看護師へ薬に関する情報を正確に伝える重大な役割を担っています。患者さんが快適に生活ができるよう、体調の変化をいち早く察し、手厚くサポートできるか否かがカギとなります。